サナダムシとは?生態は?
サナダムシは、短いもので数mm、長いものでは10m以上にもなる長いひも状の寄生虫です。
人間を含む、イヌやネコ、家畜などの様々な動物の小腸に寄生します。
しかし最近では、衛生環境が整っている日本国内では、寄生虫に感染した牛や豚、魚などはほとんど見られなくなってきています。
サナダムシには口や消化管はありませんが、体の表面で栄養分を吸収します。
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サナダムシの種類
サナダムシには多くの種類が存在していますが、その中でも、人間を最終宿主とするものは主に以下の3種類です。
- 有鉤条虫(ユウコウジョウチュウ、カギサナダ)
- 無鉤条虫(ムコウジョウチュウ、カギナシサナダ)
- 広節裂頭条虫(コウセツレットウジョウチュウ、ハバヒロミゾサナダ)
エキノコックスなど、人間を最終宿主としない種のサナダムシが人間の体内に入ると、特に危険です。
なぜなら、腸内で成熟できずに体のあちこちを巡って、本来寄生すべきでない脳などに寄生したりすることがあるためです。
サナダムシは人間から人間に感染することはなく、サナダムシが寄生した牛肉や豚肉、サケやマスなどの魚を生の状態やあまりよく加熱しない状態で口にした場合に感染することがほとんどです。
まれに、イヌやネコなどのペットに寄生したサナダムシが人間の子どもに感染することもあります。
サナダムシダイエットとは?
特に虫嫌いの方にとっては、想像するだけでゾワッとすること間違いなしのサナダムシダイエット。
サナダムシを一体どうやってダイエットに利用するのでしょうか。
サナダムシを飲む
サナダムシダイエットでは、サナダムシを腸内に寄生させるために、サナダムシの幼虫を直接飲み込む、または卵や幼虫の入ったカプセルを飲み込みます。
ただそれだけなのですが、飲み込めば必ず体に寄生するかというとそうではなく、失敗することも少なくないようです。
サナダムシは人間の栄養分、とりわけ脂肪分を食べて腸の中で暮らしていきます。
肥満の原因となる不要な脂肪分を、サナダムシに食べてもらって痩せようというのがサナダムシダイエットなのです。
実際に体験した人もいる
本当にサナダムシをお腹の中で飼っていたことで有名なのは、東京医科歯科大学名誉教授・人間総合科学大学教授の藤田紘一郎氏です。
寄生虫学などを専門とする藤田氏は、2015年までに計6匹のサナダムシを体内で飼っていました。
専門家である藤田氏でも、飲み込んだ全てのサナダムシがうまく寄生したわけではないようで、こう語っています。
今までに計6匹のサナダムシをお腹でなかで飼っていましたが、やはり相性があるようで、全部が全部うまく定着してくれるわけではないんですね。
第11回ゲスト:藤田紘一郎さん(前編)「サナダムシを自分のお腹で飼ってみたら、中性脂肪が落ちてメタボが解消され、健康体になりました」
藤田氏は1970年代後半に、寄生虫が出すアレルギー抑制物質に関する論文を発表しましたが、日本の学会ではほとんど関心を持たれることがありませんでした。
その後ベストセラーとなる本を出しても、学会では特異な存在とされてきた藤田氏は、寄生虫の効果を自ら証明すべく、サナダムシを飼うようになったといいます。
過去には、全盛期のモーニング娘。のメンバーの中でもサナダムシダイエットが流行したとかしないとか。
真相は確かめようがないですが、本当だったら大変なことですよね。
これ以外には、伝説的オペラ歌手であるマリア・カラスも、サナダムシダイエットによって約50kgの減量に成功したという話もあります。
しかしこれもあくまで噂なので、本当かどうかは知る由もありません。
サナダムシダイエットの副作用とは?
うまくサナダムシが寄生してくれれば劇的なダイエットも可能となるサナダムシダイエットですが、一般的なダイエットと比較して危険な副作用もたくさんあります。
下痢や嘔吐が起きる危険がある
多くの場合、寄生虫が体内に寄生していても、ある程度の期間は無症状であることがほとんどです。
しかし、まれに激しい腹痛とともに下痢や嘔吐が起こることもあります。
サナダムシは腸の中に寄生しているわけですから、そのような症状が起こっても無理はないでしょう。
サナダムシは簡単に排出できない
サナダムシを排出するには、まずプラジカンテル(ビルトリシド)、ビチオノール、アサノサイジンなどの抗寄生虫薬を服用します。
それから下剤を服用して、排便と一緒にサナダムシを体外に排出する必要があります。
抗寄生虫薬を服用後に排出した場合なら、サナダムシは既に死んでいてうごめいたりすることはないかと思います。
しかし、便器にその姿を見ることになった場合は、多少なりともショックを受けるのではないでしょうか。
サナダムシを体に寄生させている時に、まれに生きたサナダムシが肛門から顔を出したり、一部分が便と一緒になって排出されることもあるとも言います。
体感的にも見た目的にも不快であることが想像できますよね。
ダイエット効果がないという話もある
実際に自分のお腹のなかで飼ってみたら、花粉症にもならず、中性脂肪が落ちてメタボが解消され、至って健康な体になりました。
第11回ゲスト:藤田紘一郎さん(前編)「サナダムシを自分のお腹で飼ってみたら、中性脂肪が落ちてメタボが解消され、健康体になりました」
前述の藤田氏は上記のように語っていますが、サナダムシをお腹の中で飼っている時も、普段と同じような食生活をしていいのかと言うと、実はそうではないようです。
寄生しているサナダムシが脂肪を食べてくれるとは言っても、間食はしないで、ご飯も控えめにしなければならないとのこと。
藤田氏が健康体になれたというのも、サナダムシのおかげというよりも間食やご飯を減らしたから、という可能性が十分に考えられるのではないでしょうか。
実際に、藤田氏の知る銀座のママもサナダムシを飲んで寄生も成功しましたが、痩せるどころか太ってしまったといいます。
サナダムシダイエットは現実的ではない
「飲むだけで痩せられるなら簡単!」と思っていた方も、ここまで読んで、サナダムシダイエットは現実的ではないという考えに変わってきたのではないでしょうか。
特に日本は衛生環境が整ってきたので、人体に無害なサナダムシを探すことがまず難しいと言われています。
今でも海外産のサナダムシが密かに出回っているという話もありますが、安全だという保証はどこにもありません。
健康的な痩せ方はできない
仮にサナダムシが脂肪を食べてくれるとしても、筋肉までつけてくれるわけではありません。
筋肉は日々の運動や筋トレでしか鍛えることはできません。
脂肪だけなくなれば確かに痩せられるかもしれませんが、筋肉もないガリガリな体になってしまう可能性が高いです。
前述のマリア・カラスがどれだけの期間で約50kg減量したかは不明ですが(実際にサナダムシダイエットで減量したのかも不明ですが)、50kgの減量というのはかなりのものですよね。
1ヶ月間で減らしても体に影響がないのは、今現在の体重の5%までとされています。
それ以上体重を落とすと、リバウンドしやすくなるのはもちろんのこと、肌荒れ、抜け毛、生理不順などが起こる可能性が高くなります。
副作用が危険すぎる
サナダムシダイエットの副作用としては、腹痛や下痢、嘔吐以外にも免疫力の低下、鉄分不足による貧血、肌荒れなどが考えられます。
また、腸閉塞を起こしたり、腸以外の場所に寄生してしまった場合は、黄疸や肺炎、頭痛などが起こる可能性も。
これまでにサナダムシダイエットで命を落としたという話は上がってきていません。
しかし、エキノコックスなどサナダムシの一種である寄生虫の危険性を考えても、特に無知な素人がサナダムシダイエットを行うのはあまりにリスクが高すぎると言えるでしょう。
あなたはここまでの危険を冒してまで、痩せたいと思いますか?
サナダムシダイエットのまとめ
サナダムシダイエットの危険性、お分かりいただけたでしょうか。
「ただ飲むだけで痩せられる!」と言ってしまえばそうですが、サナダムシが必ずしもちゃんと寄生するとは限りません。
更に運良く寄生したとしても何の効果も見られない可能性もありますし、なんと言ってもそれ以上にリスクが高いですよね。
健康的な痩せ方は望めないですし、命の危険にさらされる可能性もゼロではありません。
今でも海外産サナダムシのカプセルなどが密かに出回っているという話もありますが、偽物であることも多いですし、何より安全である保証もないので、素人のサナダムシダイエットは絶対にやめましょう!
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